養護教諭はきついの?現役小学校養護教諭が仕事内容の真相をお話します。
こんにちは。
小学校の養護教諭として働くゆまとです。
3歳5歳の男の子を育児中です。
養護教諭とは保健室の先生のことです。
私は、高校の時から養護教諭になりたいと思い、目指しました。
現役合格し、現在は小学校の中規模校で働いています。
小学校大規模校、小学校中規模校、中学校中規模校の経験があります。
養護教諭の仕事は「暇そう・楽そう」と言われることが多いのですが、本当にそうなのでしょうか?
具体的に、項目別に解説します。
今回は、
- 養護教諭の仕事内容は?
- 辞めたい(きつい)理由は?
- 保健室の1日のスケジュール
- 給料は?
- きつい時の乗り越え方はどうしている?
- 向いている人はどんな人?
- やりがいとは?
など、養護教諭について詳しく知りたい方に向けて書いています。
結論からお伝えすると、
養護教諭の仕事は正直きついです。子育て中ならなおさらです。
夫や祖父母、ファミサポなど誰かの協力がないと正直厳しいと思います。
※時短勤務や時差勤務ができる場合もあります。
しかし、お給料もそこそこいいですし、向いている人なら続けることができる仕事です。
もちろん、やりがいもあります!
では、本題。
養護教諭の仕事はきついの?現役養護教諭が解説します。
養護教諭の仕事内容
養護教諭の職務は、文部科学省のHPに「養護教諭の職務内容等について」の中におおまかに書かれています。
大きく分けて以下の9つです。
- 救急処置
- 保健教育
- 保健管理
- 健康相談活動
- 健康診断
- 健康相談
- 学校環境衛生
- 伝染病の予防
- 保健室の運営
私は、現在小学校養護教諭として勤務しています。
具体的な仕事内容を月別にまとめました。
4月
- 職員向けアレルギー講習を開催
- AED、救急救命講習開催
- 入学式、始業式の配付物(保健関係)準備
- 職員会議(保健関係)資料作成と提案
- 各教室への救急セット準備
- 健康観察版ファイル作成(新年度に新調)
- 身体測定実施(結果入力は養護教諭)
- 視力検査実施
- 聴力検査実施
- 歯科検診実施
- 心電図検査実施
- 結果配付準備
- 職員健康診断実施
- 要配慮児童名簿作成
- 食物アレルギー対策
- 児童保健委員会
- 保健だより作成
※勤務時間は、8時~20時くらいです。日によってはもっと遅くなることもあります。
※今は子育て中のため、17時30分に退勤です。
5月
- 運動会に向けて準備
- 内科検診(6回)
- 児童保健委員会
- 保健だより作成
6月
- 水泳に向けて保健管理
- 環境衛生検査(プールの水質検査、受水槽検査)
- 体重測定
- 学校保健委員会(1回目)
- 保健だより作成
- 児童保健委員会
※6月30日までに健康診断をすべて終える必要があります。法律により決められています。
7月
- 林間学校に向けて準備
- 林間学校引率
- 健康診断票作成、点検
- 帳簿点検
- 夏休み前の保健教育
- 保健だより作成
- 児童保健委員会
8月(夏休み)
- 夏休み(小学校は比較的定時に帰ることができます)
- 出張(勉強会)多数
- 環境衛生検査(ダニ、空気検査)
- 1学期のまとめ
- 2学期に向けて準備
9月
- 身体測定
- 就学時健康診断(年長さん向けに実施する健康診断)
- 環境衛生検査(教室の空気検査)
- 保健だより作成
- 児童保健委員会
10月
- 修学旅行引率準備
- 修学旅行引率
- 視力検査
- 保健だより作成
- 児童保健委員会
11月
- 体重測定
- 研究レポート作成(毎年ある)
- 学校保健委員会(2回目)
- 児童保健委員会
- 保健学習
12月
- 来年度の保健行事計画案作成
- 学校医と連絡調整
- 保健だより作成
- 児童保健委員会
- 感染症予防保健教育
- 冬休み前の保健教育
1月
- 身体測定
- 環境衛生検査(空気検査)
- 保健だより作成
- 児童保健委員会
2月
- 卒業生にむけて成長の記録作成
- 保健だより作成
- 児童保健委員会
3月
- 体重測定
- 今年度のまとめ
- 保健だより作成
- 児童保健委員会
- 来年度の準備
常時
月別に紹介しましたが、毎日の仕事ももちろんあります。
- 水質検査
- 手洗い石けん補充
- 校内巡視(見回り)
- 保健日誌記入
- 来室者情報記録
- けがの手当て
- 体調不良の手当て
- 医療機関引率
- 登校渋りの児童対応
- 保健室登校(学校によります)の児童対応
いかがでしょうか。
私の仕事を思い起こしながら紹介しました。
やはり4月~6月までの仕事が膨大ですね。
文章にするととても簡単なのですが、
例えば「歯科検診」。
- 当日使用する歯鏡の準備(滅菌)
- 当日の会場準備
- 当日の片付け
- 歯科医との連絡調整
- 検診後の結果の入力
- 保護者に渡す「受診のすすめ」作成、点検、配付
- 受診済み、見受診の児童把握
- 欠席者の対応
と、1つの検診とっても多岐にわたります。
これをすべての検診行います。
それだけでも心折れませんか…。
加えて、常時の仕事です。
子育てでよく使われる「ワンオペ」と同じ状況に陥っています。
世の中の養護教諭は毎日よくやってらっしゃるなと、同じ立場でありながら尊敬します。
定年まで勤めあげられた諸先輩方は、とてもかっこいいですし、憧れでもあります。
辞めたい(きつい)理由
3月末~6月まで異常に忙しい
3校経験して、この時期、定時に帰れたことはほとんどありません(私の仕事が遅いかもしれませんが)。
学校の先生は、「定時に帰る」という意識がほとんどありません。
なぜなら、子どもが下校してから事務的な仕事をするため、定時までに仕事が終わらないからです。
一人配置のため長期休業中以外休みにくい
休んでしまうと、その日の保健室は閉鎖です。
職員室で対応してもらえますが、申し訳ない気持ちになってしまいます。
責任が重い(正確な判断が求められる)
管理職がいるとはいえ、養護教諭としての「判断」が求められます。
時には、難しいケースもあり、養護教諭自身も迷うことがあります。
時代が変わると、情報が新しくなり、これまでの常識が通じなくなることがあります。
例えば、ひと昔前は「すり傷には、消毒」「打撲には湿布」などの応急処置です。現在の保健室では、「すり傷は水道水できれいに洗う」「打撲は安静にして冷やす」です。
日々勉強して、知識を更新していく必要があります。
休憩がない
一応、勤務時間の中に休憩と定められている時間があります。
しかし、児童が学校にいる以上、休憩できる場面がほとんどありません。
あるとすれば、児童の下校後です。
給食でさえも、15分で食べます。
途中で呼ばれることもあるからです。
休憩時間を取ろうと思ったこともないのですが、普通に考えてきついですよね。
人間関係に疲れる
養護教諭は、担任、管理職、保護者、関係機関、先輩養護教諭と、様々な人と関わりを持ちます。
価値観の違いで悩むことが多々あります。
担任に同じ仕事を頼むにしても、嫌な顔をされる人もいます。
ある程度は理解しているつもりでも、嫌な顔をされたり嫌味を言われたりすると気持ちのいいものではありません。
保健関係で嫌な顔されるとへこみます。
管理職、先輩養護教諭には、会話すること自体緊張します。
保護者とは、経験を重ねるごとに関わりやすくはなってきましたが、未だに緊張します。
孤独を感じやすい
学校に1人(2人)の養護教諭です。
養護教諭だけ配付物を忘れられていたり、職員作業の時に呼ばれないこともあったりします。笑
悪気がない時のことがほとんどなのですが、気持ちは寂しいですよね。
あ…呼ばれていない。気まずい。
となります。
日頃から、色々な先生と関わるようにして関係を築けるように頑張っています。
相談しにくい
学校内のことであれば、担任や管理職に聞くことができます。
しかし、養護教諭の仕事で悩んでいたり、分からないことがあると相談しにくい環境です。
近くの学校の養護教諭に電話するか、仲良くなった同世代の養護教諭に相談するかしかありません。
私のように地区を異動した立場は(地区と校種が変わりました)、まず知り合いの養護教諭がいません。
慣れるまでの辛抱ですが、これが1番つらいです。
仕事の大変さが伝わりにくい(暇だと思われている)
養護教諭の方なら大変さは十分に分かると思うのですが、同じ教員でも養護教諭の大変さを理解している人は少ないです。
暇だと思われているけど、実はとても忙しいってつらいですよね。
コミュニケーション力が必要になる
「人間関係で疲れる」のところでも書きましたが、養護教諭はたくさんの人と関わります。
そのため、コミュニケーション力が必要です。
コミュニケーションなら大丈夫!という人なら問題ありません。
しかし、私のようにHSP(人一倍繊細な人)傾向が強い人は、コミュニケーションは頑張って取るので問題はないのですが、疲労感がたまらなくあります。
残業が多い
9月以降は、仕事量が落ち着いてきています。
養護教諭によっては、定時で帰れる人もいるかもしれませんが、私は残業ありの毎日です。
平日は定時で帰る分、土日に休日出勤している養護教諭や、持ち帰りできる仕事を自宅でやっている養護教諭もいます。
児童数がとても少ない学校は比較的早く帰ることができるようです。
しかし、小規模校は小規模校ならではの悩みがあるようでした。
異動がある
自治体によって違いはありますが、公立では、ほとんどのところは10年以上同じ学校にいられないのではないでしょうか。
養護教諭の異動はとても大変です。
異動した年から、名前も顔も分からない子どもたちを対応しなければいけません。
前任の養護教諭の引継ぎがとても大切になってきます。
複数配置がつらい(3年間経験)
▼こちらで詳しく書いているので、よかったら読んでください。
育児との両立が難しい
2人の子どもの産休・育休を経て、フルタイムで復帰しました。
私の周りでもママさん先生はたくさんいます。
時短勤務の先生、時差勤務の先生。
私が時短勤務や時差勤務を選択しなかった理由は、複数配置を避けたかったことと、時差勤務でも仕事量はあまり変わらないような気がしたからです。
時短勤務を選択したとしても、私のいない時間に代わりに来てくださる講師の先生(養護教諭)と情報交換が必須ですし、仕事を分担する打ち合わせも必要です。
養護教諭の仕事だけでも大変なのに、お互い打ち合わせの仕事が増えてしまうのも何だか疑問だと思い、辞めました。
その選択が正しかったかどうかは分かりません。
病院引率があると心が疲弊する
子どもがけがをして、経過が心配な場合は病院へ連れて行きます。
自治体にもよりますが、私の勤務校は学校(養護教諭)が病院へ連れて行くことがほとんどです。
けがも心配ですし、病院で保護者と会う事も緊張しますし、受診が終わるまで時間がとてもかかります。
学校に帰る時には、疲労困憊です。
今は色々ありまして、管理職が病院に引率しています。
理不尽なクレームが時々ある
けがの手当てに関するクレームが多いです。
中学校よりは、小学校の方が多い印象です。
養護教諭の処置に納得がいかないパターンです。その場合、学校へクレームが入ります。
優しいパターンのクレームは、担任や管理職で止まりますが、お怒りのパターンは養護教諭直接に苦情が来ます。
私もこれまで何件か対応しました。
言い訳はできませんが、こちらに落ち度がないこともあるのでモヤモヤします。
保健室の1日のスケジュール
ある1日のスケジュールを紹介します。
- 8:00 出勤(子どもがいるので遅めです)
- 8:05 保健室開錠、換気
- 8:10 健康観察表忘れの児童対応(検温)
- 8:15 保健室登校の児童受け入れ(学校によります)
- 8:20 児童保健委員会朝の仕事の見守り
- 8:30 保健室に誰もいなければ、校内巡視
- 1時間目 健康観察集計、管理職報告
- 休み時間 来室なし
- 2時間目 就学時健診関係の仕事
- 休み時間 けが、体調不良の児童の対応、早退対応
- 3時間目 就学時健診関係の仕事
- 休み時間 けが、体調不良の児童の対応
- 4時間目 就学時健診関係の仕事
- 給食 15分で完食(途中で呼ばれることもある)
- 休み時間 けが、体調不良の児童の対応
- 掃除 保健室掃除担当の児童と掃除
- 5時間目 教室に入りたくない児童の対応(人手が足りなかった)
- 6時間目 就学時健診関係の仕事
- 下校 下校指導
- 16:00~17:30 保健日誌完成、保健室来室児童情報入力、担任と情報交換、事務仕事
- 17:30 退勤(仕事がどんどん溜まっていく)
9月のある1日のスケジュールを紹介しました。
本当はもう少し残業して帰りたいのですが、保育園のお迎えがあるので諦めています。
お給料
公務員(正規)であれば、公務員と同じ給料がもらえます。
総支給額は、年齢くらいの金額です(現役合格した場合)。
税金や年金掛け金など引かれるので、実際の手取りは思ったよりも少なくなります。
6月と12月にボーナスがあります。
きつい仕事ですが、私は好きな仕事なので納得しています。
常勤講師や非常勤講師(正規の産休育休、時短勤務の代わりの先生)は自治体によって変わります。
私立の養護教諭という働き方もあるので、私立のお給料は学校によります。
きつい時の乗り越え方
私のきつい・つらい時の乗り越え方です。
- 休日に気分転換する
- 欲しいものを迷わずに買う
- 帰宅後は仕事のことを考えないようにする
- お給料をもらっている(仕事である)と言い聞かせる
- もっときつい仕事はたくさんあると意識する
- ストレッチ、ヨガをする(深呼吸大事)
- 読書(小説)して現実逃避する
- 家族や友人と楽しく過ごす
仕事と距離をおくことが大切です。
忙しい時期は、そんなことを言っている余裕もないのですができる範囲でやります。
養護教諭に向いている人
▼こちらで書いているので、よかったら見てください。
養護教諭の仕事のやりがい
とにかく子どもがかわいい
私は子どもが好きなので、子どもと接することができるだけで「この仕事いいな」と思っています。
子どもの成長を間近で見守ることができる
小学校で言うと、1年生だった児童が6年生になり入学も卒業も見守ることができます。
もう感慨深くて涙が止まりません。
中学校経験もありますが、中学校も成長を感じられます。
小学校卒業したばかりの1年生が、大人に近づく3年生になって卒業していきます。
今思い出すだけでも、小学校も中学校も感慨深いです。
子どもが困った時に力になれる
保健室は、困った子に手を差し伸べることができる場所です。
養護教諭として、困った子の力に少しでもなることができます。
全校児童を対象にできる
担任をもたないので、全校児童(生徒)対象にできます。
1年勤務すれば、だいたい全員の名前と顔が分かるようになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
私は、養護教諭はとてもやりがいがある仕事だと思っています。養護教諭という仕事が好きです。
だからこそ、もう少し働きやすい環境になってほしいと思っています。
子育て中はほんとうにしんどい仕事です。時間が足りません。
現に、夏に体調を崩して1か月休職してしまいました。
育休から復帰される養護教諭のみなさんは、どうかお身体大事になさってください。
育児は疲労と睡眠不足との闘いです。
私も健康に気を付けて、今後も頑張っていきたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました♡